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【書評】渡辺房男『ゲルマン紙幣一億円』 [書評・映画評(DVD含)]

明治通宝にまつわる小説です。


ゲルマン紙幣一億円

ゲルマン紙幣一億円

  • 作者: 渡辺 房男
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 単行本



明治通宝とは明治初期に発行された紙幣で、それまで日本国内には各藩で発行された藩札、明治維新直後に粗製乱発された太政官札など一掃して統一通貨を作ることを目的としていました。
ドイツで印刷されたことから通称ゲルマン紙幣と呼ばれました。
主人公は明治初期の混乱から藩を放逐され、途中でであった怪しげな偽金を見分ける名人との同居することになります。
藩札を安く買い占めて稼いだところで主人公は政府に捕まり死にますが、その意志をついだ同居女性がゲルマン紙幣の弱点を突いた贋金を作成して鬱憤を晴らします。
ストーリーは小説ですが、藩札の買占めも、奇想天外の偽金作りも実話に基づいています。
こうした実話をどう小説に組み込むのかがうまいと思いました。

明治初期の通貨をしりたいひとのために!
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【書評】矢部太郎『大家さんと僕』 [書評・映画評(DVD含)]

かなり話題になったほのぼの4こま漫画です。


大家さんと僕

大家さんと僕

  • 作者: 矢部 太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/10/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



売れない芸人、カラテカの矢部が八十代半ばの大家さんとの交流を描いた漫画です。
大家さんはお笑いなど知りません。
だから矢部の舞台を見に行って、矢部のギャグが滑っているのにも気がつかず、
「矢部さんだけシリアスな演技をしていました。さすがです」
などとトンチンカンな会話になります。
お笑い芸人なのに笑いが取れず、落ち込む矢部を癒す大家さんにほのぼのします。
話題になるだけはあると思います。

ほのぼのとした漫画を読みたいひとのために!
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【書評】渡辺房男『日本銀行を創った男』 [書評・映画評(DVD含)]

日本銀行の創設者である松方正義の伝記です。


日本銀行を創った男―小説・松方正義

日本銀行を創った男―小説・松方正義

  • 作者: 渡辺 房男
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/05
  • メディア: 単行本



松方正義は明治元勲では地味な存在です。
幕末に志士として華々しく活躍したわけではなく、明治期における活躍も財政面に限られています。
しかし、その財政面で特筆べき業績を残し、元勲として重きを置くことになります。
明治初期、西南戦争の戦費のために紙幣が乱発され、深刻なインフレが進行していました。
当時の財政担当者である大隈重信は貨幣制度を創設した偉人ですが、インフレを抑えることに失敗し、憲法問題もあって失脚します。
後片付けを任されたのが松方正義です。
松方は極端な緊縮財政を引き、市井に溢れた紙幣を回収し、本位通貨である銀貨を蓄積することでインフレを抑えます。
その代償として極端な不況に陥り、暴動が発生する事態にまで陥ります。
デフレ政策を進めるために、日本銀行が設立されました。
財政のプロとしての矜持を感じます。

あまり知られていない明治の元勲、松方正義を知りたいひとのために!

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【書評】竹村道夫・吉岡隆『窃盗症~その理解と支援~』 [書評・映画評(DVD含)]

万引きをしなければならない病気についてです。


窃盗症 クレプトマニア

窃盗症 クレプトマニア

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央法規出版
  • 発売日: 2018/05/15
  • メディア: 単行本



窃盗症という病気があります。
深い理由もなく、窃盗をしてしまう心の病気です。
ギャンブル依存症の窃盗版と思ってくれるとイメージしやすいかもしれません。
本書では、本人、家族、司法、報道の各面からそれぞれ窃盗症について語っています。
読めば読むほど、不思議な病気だと思います。
それにしても、被害者方面からの語りが欲しかったなあとか思ったり。
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【書評】林香里『メディア不信~何が問われているのか~』 [書評・映画評(DVD含)]

世間をにぎわしているメディア不信についてです。


メディア不信――何が問われているのか (岩波新書)

メディア不信――何が問われているのか (岩波新書)

  • 作者: 林 香里
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/11/22
  • メディア: 新書



まず最初にドイツ、イギリス、アメリカ、日本のメディア状況を俯瞰します。
その上で、SNS、さらには著者が不安視するポピュリズムによって健全な言論空間が危機を迎えつつあることに憂慮を表明しています。
この手の本で難しいのは、どうしても著者の価値判断が入り込んでしまうことです。
何が健全で、何が不健全なのか。
何がポピュリズムで、何がポピュリズムではないのか。
何が公平で、何が不公平なのか。
そうしたことに注意しながら読み進めると、ヒントがいろいろ転がっています。
個人的には大規模感情伝染実験に興味が湧いたりして。

メディアについて考えたいひとのために!

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【書評】スティーヴン・ウィット『誰が音楽をタダにした?』 [書評・映画評(DVD含)]

mp3の登場によって、音楽が実質的に無料となってしまうまでのドキュメンタリーです。


誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち (早川書房)

誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち (早川書房)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/09/25
  • メディア: Kindle版



本書は3本の軸によって書かれています。
まずはmp3を開発する技術者たち。最初は良さを認めてもらえずというより、既成権益の妨害により敗北を重ねます。
しかし、不法に音楽をネットに流す海賊たちの登場により、一気に標準フォーマットにのし上がり、開発者は大もうけをします。

次に音楽業界たち。
あるドンの半生を語ることで音楽業界の浮沈が表現されます。人気アーティストの激しい囲い込みや、売れる音楽を求めて熾烈な争いが繰り広げれれます。
業界は太る一方ですが、海賊の登場により、CDの売りは激減し、対策を求められます。

最後に海賊たち。
彼らは新譜を発売前に聞くというだけの見返りのために、mp3を使ってただひたすら不法にデータをアップしていきます。
しかも、驚くことに、多くのデータがあるCD工場の一従業員によって流出していました。

この3本の軸が合わさり、最後に音楽業界が発見した解決策とは……
といったドキュメンタリーです。
ミステリ仕立てで実に面白いです。
ドキュメンタリーが苦手なひとにもオススメしたい本です。

音楽業界の裏側を知りたいひとのために!
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【書評】アン・ファウスト-スターリング『セックス/ジェンダー』 [書評・映画評(DVD含)]

生物的な性と、自己同一性としての性を捉えなおします。


セックス/ジェンダー―性分化をとらえ直す

セックス/ジェンダー―性分化をとらえ直す

  • 作者: アン ファウスト‐スターリング
  • 出版社/メーカー: 世織書房
  • 発売日: 2018/09/01
  • メディア: 単行本



著者は正直な研究者だと思います。
性について様々な観点が並列的に記述されています。多様な研究結果を引用しながらも、安易に結論に飛びつくのを避けています。
学術的に正確なのかもしれませんが、その結果として、読み取りにくく、一般人には難解になってしまっているかもしれません。
全体を通して読めば、著者の主張はだいたい把握できます。
この本についてさらに理解するには、性について大きな議論を巻き起こしたジョン・マネーとミルトン・ダイヤモンドについて事前知識が必要だと思われます。
一般書というより、ジェンダーについて勉強している学生が、さらに多様な議論を知るために手に取る本だと思います。
翻訳者は大変だったと思います。

より深く勉強したいひとのために!

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【書評】平野裕一監修・菊池壮光著『最速上達バッティング~”勝てる”技術が身につく! 究極メソッド』 [書評・映画評(DVD含)]

理論と練習がバランスよく配合されています。


最速上達バッティング

最速上達バッティング

  • 作者: 平野 裕一
  • 出版社/メーカー: 成美堂出版
  • 発売日: 2015/02/07
  • メディア: 単行本



監修者は東大野球部監督等を経て国立スポーツ科学センターに在職、著者は社会人野球の監督で、多数のプロ野球選手を輩出しています。
この二人のコンビが素晴らしく、解説が科学的でわかりやすいです。
バッティングの基本は”スィングスピード”を上げることですが、ひとつひとつの動作に、科学的な理論が付いています。
その上で、具体的な練習法も紹介されています。
何度も読み返して、理解したくなる本です。

野球好きの子供をもつひとのために!

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【書評】渡辺房男『円を創った男』 [書評・映画評(DVD含)]

大隈重信が名を上げてから円を作るまでの半生記です。


円を創った男

円を創った男

  • 作者: 渡辺 房男
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/02/15
  • メディア: 単行本



維新直後、日本の貨幣制度は混乱していました。
藩がそれぞれ勝手に藩札を刷り、通貨も贋金が横行。そもそも政府自体が歳入不足を補うために劣位の通過を鋳造するなどムチャクチャでした。
戊辰戦争の戦費がかさみ、一時しのぎとして止むを得ない面もありましたが、経済混乱を沈めて諸外国との貿易を進めるために、統一通貨の制定に必要に迫られていました。
この”円”誕生に大きく関わったのが、大隈重信です。
この大隈重信が一番輝いていた、幕末から円創設までに絞った伝記が本書です。
無から有を産み出し続けた明治維新直後の、エネルギッシュな活動が伝わってきます。

維新直後の貨幣制度について知りたいひとのために!
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【書評】チャチャヤング・ショートショート・マガジン第5号 [書評・映画評(DVD含)]

2017年秋号になります。





岡本俊弥『猫の王』、『マカオ』が絶品です。『マカオ』は本格SFですが、『猫の王』は猫の世界を統べる猫の王と彼女との不思議な生活を描く独特の作風に仕上がっています。
雫石鉄也『週末は終末』も、よくある終末物ですが、終末の原因には触れずに週末が迫りつつも日常生活を送る人々をクローズアップすることで、読後の印象を強めることに成功した佳作です。

8人が寄稿しているだけあって、様々ジャンルに渡ります。
実力派作家ばかりなので、書店においてあってもおかしくない冊子だと思います!
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