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【書評】高野和明『6時間後に君は死ぬ』 [書評・映画評(DVD含)]

表題作は江戸川乱歩賞受賞後第1作短編になります。


6時間後に君は死ぬ (講談社文庫)

6時間後に君は死ぬ (講談社文庫)

  • 作者: 高野 和明
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/05/14
  • メディア: 文庫



本作は未来が見える超能力者を主人公とする連作短編です。
設定自体はありふれており、新規性はありません。表題作も真犯人はけっこう早めに分かります。
それでも、エンターテイメントとして完成度の高い作品に仕上がっています。
著者は渡米してストーリーの勉強をしてきただけあって、タイムリミットの設定や、アクションシーン、恋愛、ミスリーディングなど、様々な技術が詰まっています。
『恋をしてはいけない日』についても、某有名ハリウッドアニメの影響を強く感じます。
理論面から物語を作りたいひとにはぴったりの素材だと思います。

エンタメ好きな読者のために!

【書評】アーネスト・ボルクマン『情報帝国CIAの崩壊』 [書評・映画評(DVD含)]

1987年と古い本ですが、現在とつながる部分はあると思います。


情報帝国CIAの崩壊 (ワールドブックス)

情報帝国CIAの崩壊 (ワールドブックス)

  • 作者: アーネスト ボルクマン
  • 出版社/メーカー: 教育社
  • 発売日: 1987/04
  • メディア: 単行本



著者は80年代時点において過去のCIAの失敗を暴いていき、その原因を分析しています。
アメリカはいまも昔も技術中心の国で、情報収集を技術的手段に頼り、人的資源による情報収集が不足していたと指摘します。
また、情報を扱う高官の態度も問題にしています。
高官たちの頭には確固たる世界観があり、その世界観にそぐわない情報は無視するか過少評価してしまいました。また、逆に世界観にそう情報は拡大解釈され、大げさにあつかわます。
それらの人為的ミスが、多くの惨事を招いてきたと著者は批判します。

情報としては古いですが、示唆に富む内容だと思います。

【書評】高野和明『13階段』 [書評・映画評(DVD含)]

第47回江戸川乱歩賞受賞作品です。


13階段 (講談社文庫)

13階段 (講談社文庫)

  • 作者: 高野 和明
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/08/10
  • メディア: 文庫



無実の死刑囚を救い出すために与えられた期限は三か月。この難問に挑むのは元刑務官と仮釈放中の前科者のコンビ。
捜査が進むにつれて謎が謎をよび、さらには死刑の刻限が迫ってくる。
この長編には、様々な技術が詰まっています。
タイムリミットの設定、キャラたちの葛藤、骨太な背景、全てをリアルにする細部へのこだわり、綿密な調査、ラストのどんでん返しの連続にアクションシーン。
こうした様々な要素を一本の筋としてまとめる手法は素晴らしいです。
著者は映画監督を目指し、岡本喜八監督に執事していました。
そのときに受けた教え「こういうのは、どっちが勝ってるかということだろ?」という短い言葉に凝集されています。
エンターテイメント作品として超優良です。
自信をもってお勧めできる小説です!

【書評】有吉佐和子『開幕ベルは華やかに』 [書評・映画評(DVD含)]

有吉佐和子最晩年の作品です。


開幕ベルは華やかに (文春文庫)

開幕ベルは華やかに (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/12/10
  • メディア: Kindle版



有吉佐和子というと『出雲の阿国』を初めとする歴史物、当時の社会を批評した『恍惚の人』、女性の一生を描いた『紀ノ川』などが有名ですが、本作はどの系統にも属さないミステリです。
ただ、有吉佐和子はミステリをまったく書かないのではなく『悪女について』という傑作も残しています。
本作ですが、最終盤まで流行作家がさらりと書いた一冊というような読後感が残りました(実際には不眠症に悩まされていて、一冊毎に苦しんだそうですが)。ですが、犯人逮捕後に犯人の背景が語られるストーリーが続くのですが、そこが『悪女について』のようで、ふしぶしに毒が潜んでいます。
肩肘張らずに読める作品でありながら、心理的な怖さも体験できる一冊だと思います。

ミステリ好きのひとのために!

【書評】大森望責任編集『NOVA9』 [書評・映画評(DVD含)]

SF短編アンソロジーの第9段です。


NOVA 9 ---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)

NOVA 9 ---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/01/09
  • メディア: 文庫



今回もよりどりみどりの作品が集まっています。
印象に残ったのが浅暮三文の『晩秋』。これはNOVA3収録の『キリシア小文字の誕生』の流れをくむアホSFですが、よくこんな作品が書けるなあと感心です。
田中啓文『本能寺の大変』は、歴史を題材にしたこれまたアホSFですが、信長も好んだ敦盛の有名な一節「人間五十年」を「信長五十メートル」にしたかっただけで、これだけの作品を書いたのでは無いかと想像します。
普通のSFでは、森深紅『ラムネ氏ノコト』が印象に残っています。
近世の科学実験対決を題材に、面白いエンタメに仕上がっています。この構成はいろいろとつかえるかもしれません。

さまざまなSF短編を読みたいひとのために!

【書評】宮部みゆき『人質カノン』 [書評・映画評(DVD含)]

1993~1995年の作品を集めた宮部みゆきの短編集です。


人質カノン (文春文庫)

人質カノン (文春文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2001/09
  • メディア: 文庫



宮部みゆきの短編というとミステリの印象が強いですが、本作はミステリだけでなく様々なタイプの作品が集まっています。
いかにも宮部みゆきというのは『過ぎたこと』ぐらいで、人から聞いた話という設定の『十年計画』など、実験作的な意味合いがあるのかもしれません。
思い込みがあると戸惑うかもしれません。

宮部みゆきファンのために!

【書評】鮎川潤『犯罪学入門』 [書評・映画評(DVD含)]

犯罪学について、広く薄く解説した本です。


犯罪学入門 (講談社現代新書)

犯罪学入門 (講談社現代新書)

  • 作者: 鮎川 潤
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1997/07/18
  • メディア: 新書



本書は7章に分かれています。
その7つを並べると以下の通りです。
殺人、薬物犯罪、性犯罪、企業犯罪・組織体犯罪・犯罪組織、少年非行、犯罪者の処遇と司法制度、被害者学と社会環境の変化
扱っているテーマが幅ひろく200Pにも満たない本では本当にさわりの部分で終わってしまうのはやむを得ないです。
著者は海外の犯罪事情にも詳しく、ときおり紹介される日本との違いが興味深いです。

犯罪学を始めて知る人のために!

【書評】宮部みゆき『蒲生邸事件』 [書評・映画評(DVD含)]

第18回日本SF大賞受賞作です。


蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)

蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1999/01
  • メディア: 新書



宮部みゆきの長編はとにかく長い。
本書も上下2段組で500Pオーバーと、その長さに圧倒されます。
ストーリーの本題に入るまでがちんたらしているし、しかもネタは使い古されたタイムストリップ物です。
それでも事件が起こると圧倒的に面白い。細かい伏線が、見事に繋がっていく。
長いストーリーなので一言ではいえませんが、最後のシーンは昭和~平成を生きてきたひとにはぐっとくること間違いなしです。
まさに宮部みゆきの代表作のひとつだと思います。
ちなみに戦前の相続法について微妙な間違いがあったりしますが、専門家でなければ知らないと思うので仕方が無いところ。

【書評】大森望責任編集『NOVA10』 [書評・映画評(DVD含)]

書き下ろし日本SFコレクション第10弾です。


NOVA 10 ---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)

NOVA 10 ---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)

  • 作者: 菅 浩江
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/07/05
  • メディア: 文庫



自分のツボに嵌まる作品は少なかったですが、特殊性愛を描く森奈津子『百合君と百合ちゃん』、最後の一行で笑ってしまった山本弘『大正航時貴機綺譚』が印象に残っています。
全体的にコアなSFファン向けのSFが多かったです。

NOVAシリーズファンのために!

【書評】中内敏夫『軍国美談と教科書』 [書評・映画評(DVD含)]

戦時中の教科書で使われた軍国美談の光と影についてです。


軍国美談と教科書 (岩波新書)

軍国美談と教科書 (岩波新書)

  • 作者: 中内 敏夫
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1988/08/22
  • メディア: 新書



軍国美談にはモデルがありました。
国家が求める教育方針に合うように脚色され、広まり、教育方針が変わると捨て去られました。
中には不都合な事実が暴かれ、関係者が困るといったこともありました。
第Ⅲ章では急に趣が変わって、軍国美談が改作され、階級闘争の題材とされた例を取り上げています。
全体の流れからすると違和感があるような。

軍国美談の歴史を知りたいひとのために!

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