So-net無料ブログ作成
検索選択
書評・映画評(DVD含) ブログトップ
前の10件 | -

【書評】郷田直輝『ダークマターとは何か~天の川銀河探査で挑む宇宙論最大の謎~』 [書評・映画評(DVD含)]

宇宙に大きな影響を及ぼしている謎の物質、ダークマターについてです。





天空一面に恒星が輝く写真を誰もが見たことがあると思います。
実は星たちが宇宙全体に占める質量はわずか4%で、その他96%の質量は未発見のダークマターとダークエネルギーに由来するものです。
なんだか悪魔空間のような話ですが、理論と観測結果の整合からして、おおむね間違いないようです。
本書は、その謎のダークマターについて詳しく解説した新書になります。
特に面白いのが、なぜダークマターやダークエネルギーが存在すると推測されるようになったかについてです。
様々な観測事実と理論をつなぎ合わせていく様子は、まるで良質のミステリを読んでいるような気になりました。

宇宙について詳しく知りたいひと向けに!

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

【書評】渡邊一郎『伊能測量隊まかり通る~幕府天文方御用~』 [書評・映画評(DVD含)]

10次に渡る伊能忠敬測量隊の克明な記録です。


伊能測量隊まかり通る―幕府天文方御用

伊能測量隊まかり通る―幕府天文方御用

  • 作者: 渡辺 一郎
  • 出版社/メーカー: NTT出版
  • 発売日: 1997/10
  • メディア: 単行本



伊能忠敬の日本地図は、どの教科書にも載っているほど有名です。
その伊能忠敬が、どのようなルートを歩み、どのように測量を進めたのか一気にまとめたのがこの本です。
最初はほぼ個人事業だったのだ、回を重ねるごとに幕府の対応がよくなり、途中からは幕府お抱えの測量隊として各藩が接遇にあたふたするようになります。
その接待の様子や内容も細かく書かれており、資料的価値の高い本だと思います。

これだけの内容をまとめた著者に脱帽です。
nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

【書評】沖方丁『天地明察』 [書評・映画評(DVD含)]

映画にもなったベストセラー小説です。


天地明察 上<天地明察> (角川文庫)

天地明察 上<天地明察> (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2012/05/25
  • メディア: Kindle版




天地明察 下<天地明察> (角川文庫)

天地明察 下<天地明察> (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2012/05/25
  • メディア: Kindle版



時代は江戸時代初期。三代将軍徳川家光から五代将軍綱吉にかけてです。
当時使われていた暦は800年前に制定されたもので、現実とのずれが目立ってきました。その暦を改訂しようと繰り広げられる歴史ドラマです。
著者はすでにヒット作を持つ有名作家ですが、歴史小説は始めです。なので、ベテランと新人の両方の面を持った作品になっています。
歴史的な描写は新人らしい書き方ですが、構成は人気作家らしく、しっかりと計算しつくされたストーリーになっています。どこかふらふらした主人公が、夢半ばで倒れていった仲間たちの期待を積み重ねるように受け取り続け、成長した主人公が巨大な壁に立ち向かいます。
人物造形も枝葉を刈り取ったわかりやすい設定になっており、エンターテイメントに徹した作品だと思います。

ひとを楽しませることを知り尽くした作家の作品だと思います。

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

【書評】嘉数次人『天文学者たちの江戸時代』 [書評・映画評(DVD含)]

江戸時代に活躍した天文学者たちを紹介です。


天文学者たちの江戸時代 ──暦・宇宙観の大転換 (ちくま新書)

天文学者たちの江戸時代 ──暦・宇宙観の大転換 (ちくま新書)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/07/10
  • メディア: Kindle版



江戸時代というと鎖国のため科学技術の発展に取り残されているイメージがあります。
全般的にはその通りなのですが、部分的には独力で驚異的な発展をしている分野もあります。
天文学はそれなりのレベルに達していましたが、西洋からの専門書を翻訳し、参考していたため大きな差がありました。
しかし観測精度は驚くほどで、日食や月食はほぼ的中させることができますし、地球の大きさもかなりの精度で算出することができました。
そうした天文学者たちの奮闘の歴史が、小気味よくまとめられています。

江戸時代における科学技術の一端を知りたいひとに!
nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

【書評】宮部みゆき『我らが隣人の殺人』 [書評・映画評(DVD含)]

盛りだくさんの短編集です。


我らが隣人の犯罪 (文春文庫)

我らが隣人の犯罪 (文春文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1993/01
  • メディア: 文庫



収録されている作品は5つです。うち3つが受賞、若しくは最終選考作です。
『我らが隣人の犯罪』第26回オール讀物推理小説新人賞
『この子誰の子』
『サボテンの花 』第43回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)候補
『祝・殺人』第25回オール讀物推理小説新人賞候補
『気分は自殺志願』

ということで、とてもお得感満載の短編集だと思います。
特に『サボテンの花』は絶品で、短編技術のエッセンスがぎゅっと詰まっています。
ぜひともご一読を!
nice!(6)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

【書評】宮部みゆき『魔術はささやく』 [書評・映画評(DVD含)]

第2回日本推理サスペンス大賞受賞作です。


魔術はささやく (新潮文庫)

魔術はささやく (新潮文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1993/01/28
  • メディア: 文庫



この本を読むのは2回目です。
とても面白かったのですが、鍵を開けるシーン以外はほとんど忘れていました。
再読して、その理由が少し分かりました。
テーマとしては、サブミリナル効果と催眠術を扱っています。
前半はキャラがわーっと出てきて若干混乱しますが、そこを超えれば物語はすいすい流れていきます。
妙に印象に残った前半の鍵のシーンは、本筋とはあまり関係が無く、後半訪れる主人公の決断を導くためのエピソードを挿入するためのエピソードみたいな感じです。
『龍は眠る』のごたごたとした前半シーンと意味合い的には重なります。
個人的には犯行動機など解せぬ部分もありますが、日本推理サスペンス大賞受賞作だけあって、読ませる力は強力です。

最後までぐいぐい引っ張られる作品だと思います。
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

【書評】宮部みゆき『理由』 [書評・映画評(DVD含)]

第120回直木賞受賞作です。


理由 (朝日文庫)

理由 (朝日文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 文庫



高級マンションで起きた殺人事件を、多数の人物を登場させながらルポ形式で追っていく作品です。
文庫本で600Pを超える大作です。

宮部みゆきは作品に社会性に富むモチーフを盛り込むことがありますが、本作だと「競売」です。
殺人事件の現場となったマンションは競売物件であり、占有屋が居座り買受人とのトラブルが発生していました。
そこで殺人事件が起き、最初は単純な事件かと思っていたら、占有屋の家族は実は単なる赤の他人の集まりで……と、調べるたびに謎が深まっていきます。
モチーフは「競売」ですが、全編を通じるテーマは「家族とは何か」です。
本作には様々な家族が登場し、それぞれの背景が事件に陰に陽に影響を与えます。

長すぎるかな、という気持ちもしないでもないですが、最後まで楽しめる作品だと思います。
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

【書評】宮部みゆき『龍は眠る』 [書評・映画評(DVD含)]

第45回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞作であり、宮部みゆきの代表作のひとつです。


龍は眠る (新潮文庫)

龍は眠る (新潮文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1995/01/30
  • メディア: 文庫



冒頭で超能力少年が登場します。
この時点で微妙な感じがしますし、事件が発生したあとももっさりで、正直冒頭の調子はあまりよくありません。
その事件はひとつの終末を見るのですが、さらにもうひとりの超能力少年が登場することで、物語は複層構造に進化していきます。
そして、主人公の元婚約者が誘拐されるという本筋の事件が発生して、物語はクライマックスへと向かいます。
物語で超能力少年が持つ寂しさ、生き辛さが繰り返し語られます。
もっさりとした冒頭も含めて、クライマックスで超能力少年たちが取る突飛な行動につじつまを合わせるために必要なストーリーですが、なんとなくすっきりしません。
自分が犯人なら、もっと簡単で安全な方法を取るかなと。

いろいろと書きましたが、宮部みゆきの筆力はすごいです。
ところどころ遊びを挟みますが、それがただの遊びではなく、キャラクターに彩りを添える一要素になっています。
長編ミステリ好きなひとに!
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

【書評】宮部みゆき『火車』 [書評・映画評(DVD含)]

1993年山本周五郎賞受賞作です。


火車 (新潮文庫)

火車 (新潮文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1998/01/30
  • メディア: 文庫



主人公は怪我のため休職中の刑事です。
親戚の婚約者が失踪し、その捜索を依頼されて動き始めます。ところがこの婚約者が他人の戸籍を奪って生活していた可能性が濃厚になります。
主人公は関係者への聞き込みを繰り返しながら、真実へとひた走ります。

構成としては有吉佐和子の名作『悪女について』に似ています。
基本的に主人公はインタビュアーの立ち位置にいて、積極的に罠を仕掛けるわけでもなく、ひたすら言葉のみで婚約者の真の顔に迫ります。
ミステリーとして読むと物足りません。内容的に長すぎると感じます。
作品の読みどころは、逃げ続ける女性の心理描写だと思います。
犯人はときおり合理的でない行動をとりますが、そこがまた人間らしく、そうした描写を入れるところが宮部みゆき独特のストーリー展開なのかもしれません。
カバー装画が小説内容を的確に表現していて印象的です。
宮部みゆきを読むには欠かせない一冊だと思います。
nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

【書評】田丸昇『山田道美伝~盤上に散った将棋一筋の人生』 [書評・映画評(DVD含)]

36歳で夭折したあるA級棋士の伝記です。


熱血の棋士 山田道美伝

熱血の棋士 山田道美伝

  • 作者: 田丸 昇
  • 出版社/メーカー: マイナビ
  • 発売日: 2012/12/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



山田道美は昭和8年に名古屋で生まれました。その後、中学校時代から将棋を始め、17歳で棋士になります。スタートラインが中学生ですので、晩学の棋士といえます。
当時は大山康晴の絶頂期で、タイトル戦に登場したものの2回連続して苦杯を飲まされます。
当時の将棋界は中盤のひねり合いこそ将棋の華であり、序盤研究を蔑む傾向にありました。まして共同研究なんてもっても他でした。
しかし、山田道美は周囲の雑音などシャットアウトして、仲間と研究会を始めます。その代表作は現代でも通じる山田定跡です。
いまでは研究会は普通のことになっています。

山田道美はあの大山康晴から棋聖位を奪取し、半年後の防衛戦でも中原誠相手に防衛します。次期防衛戦では敗れたものの、棋士としての絶頂期を迎えていました。
そうしたときに、血小板減少性紫斑病という奇病にかかり、36歳で急死してしまいました。
病名がなかなか判明しなかったことや、病院のストで入院が遅れたなど、様々な不運が重なった結果でした。

著者の田丸昇は現役の棋士(執筆時)です。そのため、ときおり棋譜がでてきて、ある程度の以上の棋力がないとチンプンカンプンかもしれません
しかし、この本を手に取るひとはある程度将棋を知っているひとが多いと思われるので、それで良いのかもしれません。
山田道美は努力のひとです。
その努力の跡は、だれもが勇気づけられると思います。

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
前の10件 | - 書評・映画評(DVD含) ブログトップ