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【書評】中島要『錦の松』 [書評・映画評(DVD含)]

着物始末暦シリーズの第6巻になります。


錦の松 着物始末暦(六) (時代小説文庫)

錦の松 着物始末暦(六) (時代小説文庫)

  • 作者: 中島要
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2016/02/12
  • メディア: 文庫



中島要は短編作家で、いままで多くの連作短編集を書いてきましたが、最長でも3巻程度で着物始末暦シリーズは群を抜いています。
それだけ人気のある作品なのでしょう。
本作では4つの短編が収録されています。
着物に込められたエピソードは健在ですし、いままで登場してきたキャラクターたちがどんどん登場してオールスターズのような作品集になっています。
いままでさんざん気を持たせてきた恋物語も、ひとつの結論を迎えました。
ときおり偶然に頼りすぎていると思われる個所が散見されましたが、作者の思い描いている結末に向けてきれいにまとめている印象を持ちました。
あいかわらず描写がほとんどありませんが、それでもぐいぐい読ませてしまう文章力を持っています。
作者の技術を感じる作品だと思います。
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【書評】後藤元気『将棋自戦記コレクション』 [書評・映画評(DVD含)]

気鋭の観戦記者による自戦記コレクションです。


将棋自戦記コレクション (ちくま文庫)

将棋自戦記コレクション (ちくま文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫



升田幸三から渡辺明まで、時代も棋士もかなり幅広いラインアップで、歴史的価値のある自戦記が盛りだくさんです。プロだけでなくアマチュアも採用されているところも特徴的です。
販売を考えると名棋士を採用したくなるところですが、小野修一『もぐらだって空を飛びたい!』、前田祐司『残り一五秒でひらめく』などが入っているのをみると嬉しくなります。
他にも株主優待で有名な桐谷広人『プライドをかけて』は最後の1行が絶品です。

将棋史を別の視点から楽しめる一品だと思います。
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【書評】城山三郎『ビックボーイの生涯~五島昇その人~』 [書評・映画評(DVD含)]

東急グループを率いた五島昇の伝記です。


ビッグボーイの生涯―五島昇その人 (講談社文庫)

ビッグボーイの生涯―五島昇その人 (講談社文庫)

  • 作者: 城山 三郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1997/05/15
  • メディア: 文庫



五島昇は二代目です。父慶太から事業を引き継ぎ、一代で数百億の年商を二兆八千億まで伸ばしました。
その事業は夢は大きく拡大一直線でありながら、絞めるときは絞める良き参謀がいて、また時代の波に乗ったこともあり見事な成功を収めます。
著者は五島昇を「適度に休戦するひと」と書いています。
しかし、自分の目には「壮大な人脈を築き上げた人」のように思えます。
ひとを見て、任せるときは思い切って任せます。
独断専行型として大事なことは自分で決めますが、その一方でひとの意見を良く聞きます。
五島昇が事業で成功したのも、なるほどと思わせます。

昭和経済史のなかで、五島昇はあらゆるとことに顔を出します。
経済の歴史を知る上でも、目を通しておく伝記だと思います。
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【書評】城山三郎『硫黄島に死す』 [書評・映画評(DVD含)]

城山三郎の短編戦争小説集です。


硫黄島に死す

硫黄島に死す

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1984/07/25
  • メディア: Kindle版



本作に収録されている作品には、舞台が戦中もあれば戦後もあります。
表題作はバロン西で知られたオリンピック金メダリストである西男爵が、硫黄島に派遣され、戦死するまでの物語です。
伝記的要素が強く、貴族的なスタイルを崩さなかった西男爵の生き方を鮮やかに描き出しています。
本作は文芸春秋読者賞を受賞しています。
個人的に一番印象に残ったのは『草原の敵』です。
舞台は終戦直前の満州で、中立条約を破ったソ連軍に守備隊が踏みにじられていくというどうしようもなく暗い話です。
主人公たちの心情も曲がっていき、敵を倒すより、卑怯な振る舞いをする隊長がやられるのを見て喜びます。
著者は戦争体験があるだけに、そうした感情を文学作品として残したかったかもしれません。
様々な色を戦中・戦後体験できる短編集だと思います。
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【書評】城山三郎『指揮官たちの特攻』 [書評・映画評(DVD含)]

最初と最後の特攻指揮官の伝記です。


指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/08/01
  • メディア: Kindle版



最初の特攻指揮官は関行男大尉で、最後は中津留達雄大尉です。
二人は同期ですが性格が間逆で、猛烈な関大尉に対して温和な中津留大尉。お互いにいろいろな思いを胸に秘めながら、大空に飛び立ちました。二人とも特攻には批判的でしたが、命令とあれば従うのが軍人としての定めでした。
ポツダム宣言受諾後、中津留大尉は宇垣中将を乗せて飛び立ちました。
城山三郎の推理では、中津留大尉はポツダム宣言受諾を知らなかったようで、突入した現場を踏まえると機上で戦争終結を知り、米軍には突入せずキャンプを外れて墜落させたとしています。
この件については様々な異論があるようですが、搭乗員の技量を考えると、当たらずとも遠からずのような気がします。

本書には当時の著者のことと、さらには残された家族のことが書かれています。
なぜこのような作戦を立ててしまったのか。
本当に悲惨な出来事だとあらためて思います。

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【書評】城山三郎『忘れ得ぬ翼』 [書評・映画評(DVD含)]

城山三郎の戦争文学短編集です。


忘れ得ぬ翼 (文春文庫)

忘れ得ぬ翼 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1977/07/25
  • メディア: Kindle版



収録されているのは8編です。
それぞれ別の飛行機が登場し、その飛行機の特徴にそったストーリーが展開していきます。
時期としてはいずれも戦争末期で、生と死の狭間をさまよいながら主人公は偶然にも助かり、戦争を引きずりながらもそれぞれの戦後を生きていきます。
全編に共通しているのが、戦死者への哀悼です。
短編がかかれた昭和44年という時期もあったのかもしれません。終戦時二十代半ばだった青年が、五十前後の分別盛りになっている頃です。
いわば、戦争体験を青春の一こまとして振り返る。そのような空気を感じました。
城山三郎というと長編のイメージが強いですが、短編の冴えを堪能できる一冊だと思います。
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【書評】山形石雄『六花の勇者6』 [書評・映画評(DVD含)]

テグネウ編の終幕です。


六花の勇者 6 (ダッシュエックス文庫DIGITAL)

六花の勇者 6 (ダッシュエックス文庫DIGITAL)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/07/29
  • メディア: Kindle版



毎回、謎解き要素満載で楽しませてくれる六花の勇者ですが、シリーズ6巻目はテグネウ編の最後ということもあってか、早い段階で敵の作戦は全て明らかにされ、どちらかというと戦闘シーン中心で進みます。
ややとって付けた感の場面もあり、苦しみながらもラストシーンまで書き切ったという感じでしょうか。
次に立ちはだかるのは、さらなる強敵になる見込みですが、キャラ設定からいうと策略を立てる感じではありません。
この敵役を相手に、どのように盛り上げていくのか作者の力量に期待したいです。
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【書評】城山三郎『一歩の距離』 [書評・映画評(DVD含)]

作者の戦争体験が色濃く感じられる小説です。


一歩の距離 小説 予科練 (角川文庫)

一歩の距離 小説 予科練 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2015/08/25
  • メディア: Kindle版



本作には2つの作品が納められていますが、いずれも終戦末期に特攻兵器の搭乗員として配置され、揺れ動く心情を戦争体験者らしいリアル感を持って描いています。
「一歩の距離」では神風特攻隊を取り上げ、特攻に志願した隊員と一歩踏み出せなかった隊員との対比をメインに据えつつ、戦争の行く末より内部が気になってしかたがない閉鎖された空間の恐怖もどこかしら伝わってきます。
もう一編の「マンゴーの林の中で」は台湾が舞台ということもあり、どこか享楽的な雰囲気が漂います。
ここでの特攻兵器は安ボートです。作戦を立てたり、訓練をしたりする意味すらないただ爆弾を抱えて突っ込むだけの兵器です。
そうした状況に追い込まれた予科練出身の艇隊長が、隊員たちをいつくしみながら、残り少ない人生をできるだけ有意義に過ごそうとします。
当時の隊員の心情を細かく描きつつ、あまり知られていない〇四艇を取り上げた佳作だと思います。

経済小説家としてしられる城山三郎ですが、戦争小説家というもうひとつの面を見せる作品だと思います。
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【書評】アイザックアシモフ『化学編第2・炭素の世界』 [書評・映画評(DVD含)]

アイザックアシモフ大先生が、有機化学をおもしろく解説します。


アシモフ選集〈化学編 第2〉炭素の世界 (1970年)

アシモフ選集〈化学編 第2〉炭素の世界 (1970年)

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 共立出版
  • 発売日: 1970/06
  • メディア: 単行本



AアシモフというとSF作家のイメージがありますが、むしろ本職は科学解説だといえるぐらい著作が豊富です。
その博識は恐ろしいほどで、とくに言葉関係が好きなので、炭素の世界でも頻繁に語源の話に飛びます。
筆の行き先は、まさに縦横無尽です。その饒舌ぶりは、炭素を含む分子が有機物と命名された由来にまで及びます。
有機化学の世界は広く、もちろん一冊で扱える範囲には限りがあります。
それでも有機化学の基本構造を押さえ、さらに細かな分子の違いがどう性質に影響を及ぼすのかまで解説してしまうのはアシモフならではの腕力だと思います。
炭素というより有機化学を知りたいひと向けの本だと思います。

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【書評】エドワード・ルトワック『エドワード・ルトワックの戦略論~戦争と平和の論理~』 [書評・映画評(DVD含)]

著名な戦略家であるルトワック氏の代表的著作です。


エドワード・ルトワックの戦略論

エドワード・ルトワックの戦略論

  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2014/07/18
  • メディア: Kindle版



ルトワック氏の魅力は自由奔放な発想力です。
著者は過去における世界中の戦争、紛争の分析から導かれた常識にとらわれないその主張は、多くの読者を驚かせると思います。
本書に流れる一貫したテーマは「逆説的論理」です。
平和を欲するほど戦争に備えなければならない。紛争を早く終わらせるためには平和維持活動によって内戦の配車を無駄に存命させないほうがよい。自国の安全を守るには敵を徹底的にたたいてはいけない、バランスオブパワーに悪影響が及ぶ。
などなど、日本ではとてもお目にかかれない内容のオンパレードです。
狭い技術ほど対策も容易であると、技術過信にも警鐘を鳴らしています。

世界的名著と評されるのも納得です。
本書にはじっくりと学ぶべき内容が詰まっていると思います。
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