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【書評】城山三郎『硫黄島に死す』 [書評・映画評(DVD含)]

城山三郎の短編戦争小説集です。


硫黄島に死す

硫黄島に死す

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1984/07/25
  • メディア: Kindle版



本作に収録されている作品には、舞台が戦中もあれば戦後もあります。
表題作はバロン西で知られたオリンピック金メダリストである西男爵が、硫黄島に派遣され、戦死するまでの物語です。
伝記的要素が強く、貴族的なスタイルを崩さなかった西男爵の生き方を鮮やかに描き出しています。
本作は文芸春秋読者賞を受賞しています。
個人的に一番印象に残ったのは『草原の敵』です。
舞台は終戦直前の満州で、中立条約を破ったソ連軍に守備隊が踏みにじられていくというどうしようもなく暗い話です。
主人公たちの心情も曲がっていき、敵を倒すより、卑怯な振る舞いをする隊長がやられるのを見て喜びます。
著者は戦争体験があるだけに、そうした感情を文学作品として残したかったかもしれません。
様々な色を戦中・戦後体験できる短編集だと思います。
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