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【書評】城山三郎『一歩の距離』 [書評・映画評(DVD含)]

作者の戦争体験が色濃く感じられる小説です。


一歩の距離 小説 予科練 (角川文庫)

一歩の距離 小説 予科練 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2015/08/25
  • メディア: Kindle版



本作には2つの作品が納められていますが、いずれも終戦末期に特攻兵器の搭乗員として配置され、揺れ動く心情を戦争体験者らしいリアル感を持って描いています。
「一歩の距離」では神風特攻隊を取り上げ、特攻に志願した隊員と一歩踏み出せなかった隊員との対比をメインに据えつつ、戦争の行く末より内部が気になってしかたがない閉鎖された空間の恐怖もどこかしら伝わってきます。
もう一編の「マンゴーの林の中で」は台湾が舞台ということもあり、どこか享楽的な雰囲気が漂います。
ここでの特攻兵器は安ボートです。作戦を立てたり、訓練をしたりする意味すらないただ爆弾を抱えて突っ込むだけの兵器です。
そうした状況に追い込まれた予科練出身の艇隊長が、隊員たちをいつくしみながら、残り少ない人生をできるだけ有意義に過ごそうとします。
当時の隊員の心情を細かく描きつつ、あまり知られていない〇四艇を取り上げた佳作だと思います。

経済小説家としてしられる城山三郎ですが、戦争小説家というもうひとつの面を見せる作品だと思います。
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